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残価設定型ローンのカラクリについて(2/2)

前回の記事に引き続き、残価設定型ローンのカラクリについてまとめていきます。

前回、残価設定型ローンのほうが同じ金利の一般的なカーローンよりも毎月の支払が少ないのに、総支払額では多くなってしまうということをまとめさせていただきました。

今回はその理由から記載していきます。

目次

残価設定型ローンのカラクリについて

前回設定した残価設定型ローンの前提条件から記載しておきます。

例:300万円の車を5年の残価設定型ローンで購入

  残価率を5年残価35%、

  残価ローンの金利は4.9%としておきます。

  頭金・ボーナス払いなしとして計算

この場合の支払方は

まず5年残価35%の金額は

300万円 × 35% = 105万円(5年経過時点での残存価値)

300万円ー105万円=195万円

計算が難しいので、ここでは便宜上、考え方をメインにまとめていきます。

簡単に言いますと、

195万円を5年間(60か月)で分割し、毎月の支払は 37,259円

これに加えて、105万円にかかる金利のみこの60回の中で上記にプラスして支払う。

105万円×4.9%=51,450円(年間) ⇒ 51,450円÷12月=4,287円

37,259円+4,287円= 41,546円/月

この間、元金は減らず、金利だけ支払うことになります。

※ここでは便宜上、簡易な計算によって出しましたので、残価設定型ローンの支払金額と微妙に異なった数字になっています。悪しからずご了承ください。

 

 

分かりますでしょうか?

通常のローンは元金、金利を支払っていきますが、

一方で残価設定型ローンの場合は、残価分については金利のみ支払っていく形になっており、毎月の支払の中に元金が含まれていません。

以上のことから、元金の減りが少ないので結果的に支払う金利が多くなってしまうということです。

 

一般的なローンでの支払いと残価設定型ローンの支払い金額について

もう一度記載しておきます。

①一般的なカーディーラーのローンでの支払いの場合(金利4.9%)

 毎月56,476円の支払い5年支払い総額3,388,560円

 

②残価設定型ローンの場合(残価を5年経過時に一括支払う場合)

毎月41,611円の支払い 5年支払い総額(残価分含む)3,505,049円

残価設定型ローンのほうが毎月の支払金額が低いのに、5年総額の支払金額が約12万円も多くなっています。

残価設定型ローンの問題点の一つ目

以上のように、目先の毎月の支払が少ないからと言って、総支払額が少なくなるわけではありません。

 

5年経過時点での残価設定型ローンでの選択について

次に、残価設定型ローンの問題点の2つ目です。

問題はこちらの方が大きいと思っています。

5年経過後の時点で以下の選択肢からどうするかを選ぶことになります。

①残価分の金額を一括で支払ってそのままその車に乗り続ける

②残価分についてディーラーローンで再度借り、分割払いして乗り続ける

③車を返却し、以降の支払を免除

(売却したのと同じ意味になります)

それぞれ解説していきます。

①残価分の金額を一括で支払い、車を自分のものにする

これの意味ですが、この時点で一括して残額を支払って初めて自分の車になります

それまではディーラーから車をレンタルで借りているような状況です。

①~③の中でまだ一番マシな選択肢です。

ただしかし、現実にはこの選択肢を選ばれる方は少ないようです。

というのも、残価設定型ローンを選ばれる時点で「お金がない」からこそ毎月の支払を抑えたいわけであり、こんな資金があるなら残価設定型ローンなど選択していないはずです。

 

②、③といくごとに恐ろしい状況になっていきます。

以下、注意してお読みください。

次に

②残価分についてディーラーローンで再度借り、分割払いして乗り続ける

についてですが、

既にご説明しましたとおり、残価分(今回の場合105万円)について、既にこの5年間でも高い金利(4.9%)を支払ってきたことは既にご理解いただいたと思いますが、更にこれからまた何年間か、高い金利を引き続き支払っていくという選択肢です。

参考に試算結果を乗せておきます。

残り105万円ですので、毎月の支払金額をこれまでの5年間くらいは可能なものとして計算しますと、2年間の支払で行けそうです。

105万円 金利4.9%(残価の金利よりも高く設定されることが多いようですが、ここでは便宜的に同じ金利で計算しておきます)

46,018円/月、総支払金額 1,104,432円

金利だけで5万円程度の支払となっています。

先程の試算にこの金利を加え、最終的にいくら支払うことになるかというと

3,505,049円 + 54,432円(追加2年分の金利分))3,550,481円

これまでの5年間に加え、いわゆる利息の二重払いということになります。

ディーラーローンで支払う場合の金額は 総額3,388,560円

になりますので、16万円も多くの金利を支払うことになります。

300万円の車を購入して、355万円もの金額を支払うことになる・・・

どう思われますか?

こんなことをするくらいなら、最初から通常のローンで支払った方が支払金利がだいぶ安くなります。

 

さて、一番最後になりますが、

残価設定型ローンで最も取ってはいけない選択肢。

ただ残念なことに大多数の方がこの選択をされると聞きます

③車を返却し、以降の支払を免除

これですが、以降、まったく車に乗らないというのであれば、これを選択しても問題はありません。

しかし現実には、車を引き続き乗られる必要があるでしょうし、実情を知りもせずに「毎月の支払が安く、いい車に乗っている」と自慢に思っておられる方が大多数なのではないでしょうか。

これの問題をまとめていきます。

これの意味するところは

 

5年間乗った車を返却し、また新たな車を残価設定型ローンで買い替える

ことになります。

なぜこうなるのか?

消去法で③になるように仕組まれているわけです。

①5年間乗った車の残額を一括で支払う

ことは資金的な面からできない。

②残価分を改めてローンを組んで乗る

ことについて、

毎月また同じくらいの金額を支払うのなら、新しい車に乗り替えれますよ

といったディーラーの営業からもプッシュされ、判断基準が総支払額ではなく、毎月の支払金額の比較に落とし込まれ、新たな車での残価設定型ローンを再契約してしまうのでしょう。

本当に残価設定型ローンを払い続けられますか?

 

重要なので、もう一度書きます。

5年間乗った車を返却し、また新たな車を残価設定型ローンで買い替える

 

つまり、

自分の車でもない車に高い金利を支払って乗り続ける

ことになります。

言わば、

死ぬまで続くローン(しかもかなり高い金利)として延々契約を続けざるを得なくなることになります。

住宅ローンと比較して考えてみてください。

住宅ローンも苦労して長い時間かけて返済していくのでしょうけれども、いつかは終わりが来るわけで、そこを目指して頑張って返済していくわけですよね。

それが死ぬまで延々と返済が続くと考えたらどうでしょうか?

しかも、残価設定型ローンは住宅ローンよりもはるかに高い金利になっているわけです。

なんなら、これから日本経済が持ち直し、金利が正常化していけばさらに高い金利設定になっていくでしょう。

 

巷では高級車のアルファードなどがバンバン走っています。

もし残価設定型ローンで購入されているのであれば、高額なだけに金利もバカになりません。

600万円の車を残価で購入され、5年間、4.9%で支払う場合、金利だけでも100万円くらいになります。

5年で金利だけで100万円です。

毎月の支払いで見ると、毎月8万円、1年96万円、5年で480万円・・・

毎年96万円を死ぬまでずっと支払い続けるなんて、どうかしてませんか??

30年で3千万円ですよ。

本当に大丈夫ですか?

 

 

あとがき

皆さんが困らないように。私が得た情報で皆さんの役に立つものがあれば順次掲載していきたいと思います。

 

賢い選択をされ、よりよい人生をお過ごしになられることを祈念しています。

 

同じようなことが携帯業界でもあります。

皆さんもスマホ、無理していませんか?

次回、この点についても書いていければと思います。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

その他、お役立ち情報など様々にまとめておりますので、良ければ見ていってください。

 

yuikayo: 近畿圏在住の40代です。 妻、子と3人家族、ついに憧れのマイホーム建築! お気に入りのものなど発信していきます。
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